犬にキシリトールを与えてはいけないことを知っていましたか?
玉ねぎやチョコレートがダメなことはほとんどの方が知っていると思いますが、キシリトールは知らなかった方もいると思います。
キシリトールも、玉ねぎやチョコレートと同様に、犬にとって最も危険な食べ物の一つなので注意してください。
キシリトールとは?
そもそもキシリトールとは何でしょうか?
キシリトールとは、食品添加物の甘味料の一種です。
甘味料は、食品に甘味をつけるための調味料です。
シラカバやカシなどを原料につくられる天然素材の甘味料で、砂糖に比べてカロリーは25%低く、溶ける時に熱を吸収するので、清涼感があります。
キシリトールには、虫歯の予防効果があることで有名です。
砂糖の場合、糖をミュータンス菌が分解・発酵させてつくりだした酸によって、歯のエナメル質が溶かされて虫歯ができます。
キシリトールは、ミュータンス菌によって発酵しないので、虫歯の原因となる酸が発生しません。
また、ミュータンス菌はキシリトールを取り込むと活性が弱まります。
そのため、キシリトールには虫歯予防の効果があるとされています。
犬にとっては危険
糖分を含む食べ物は、消化酵素などでブドウ糖に分解され、血液に吸収されます。
そこで、血液中のブドウ糖の濃度が高くなりすぎないように、インスリンという物質が放出されて血糖値を調節します。
人間はキシリトールを糖分として認識しないので、インスリンが放出されません。
しかし、犬はキシリトールを糖分として認識するので、インスリンが放出されます。
キシリトールはインスリンを放出させる力が強いので、犬がキシリトールを摂取すると、急激にインスリンが放出されて、低血糖を引き起こします。
症状
キシリトール入りの食べ物を食べると、以下の症状が現れます。
・嘔吐
・下痢
・ぐったりする
・昏睡
・痙攣 など
初期症状として、嘔吐や下痢があらわれ、症状が進行すると昏睡や痙攣に陥ります。
症状が重いと、急性肝不全を起こし、死に至ることもあります。
症状が現れるまでの時間
キシリトールによる中毒症状は、比較的早く現れ始めます。
ほとんどのケースで、30分以内に症状が発症します。
ただし、十数時間後に症状が発症したという事例もあるので、すぐに発症しなかった場合でも安心とは言い切れません。
食べると危険な量
どのくらいのキシリトールを摂取すると危険なのでしょうか?
一般的には、体重1kgあたり0.1gのキシリトールを摂取すると症状が現れ始めるといわれています。
市販されているキシリトール入りのガムには、一粒あたり約0.5gのキシリトールが含まれています。
例として、5kgの小型犬は、ガムを一粒食べたら、中毒症状が発症する可能性があります。
ただ、個体差がありますので、より少量で中毒症状が現れる場合もあるので注意しましょう。
キシリトールを含む食べ物
キシリトールを含む食べ物は以下のものがあります。
・ガム
・歯磨き粉
・ミント
・ピーナッツバター
・イチゴ
・ベリー類
・カリフラワー
・白樺
・樫
・プラム
・ケヤキ
・さくら
・ブナ など
以上のようなものにキシリトールが含まれています。
ただ、イチゴなどに含まれているキシリトールは微量なので、相当量食べないと致死量とはなりません。
ガムや歯磨き粉などの誤飲については、特に気をつけるようにしてください。
食べてしまった時の対処法
もしも、キシリトール入りの食べ物を食べてしまった場合は、速やかに動物病院へ連絡し、獣医の指示に従いましょう。
キシリトールの場合、30分以内で症状が現れることが多いので、おかしいと思ったらすぐに動物病院へ連れて行ってください。
動物病院では、ブドウ糖の点滴等を行うことになります。
基本的には動物病院で処置してもらうことをおすすめしますが、営業時間外など、どうしても自分で対処するときは、食塩またはオキシドールで吐かせることで応急処置を行います。
食塩を使う方法
小型犬でスプーン1/2杯、大型犬でスプーン1杯の塩を舌の上に乗せます。
食塩を食べさせると、水を大量に飲み、吐かせることができます。
しかし、食塩を過剰摂取すると、食塩中毒になってしまうので、次に紹介するオキシドールを使う方法をおすすめします。
オキシドールを使う方法
3%オキシドール(市販のものはほとんど3%、念のため確認してください)をスポイトを使って、口の端から流し込みます。
口を塞いで、上を向かせると飲み込みます。
与える量の目安は、体重5kgにつき1ccです。
すぐに吐く場合もありますが、15分程度経過してから吐く場合もあるので、少し様子を見てください。
15分経過しても吐かない場合は、再度オキシドールを与えます。
ただし、オキシドールは犬の胃を痛めるので、再度与えても吐かない時は、応急処置を中止してください。
食塩やオキシドールを使う方法は、キシリトール入りの食べ物を食べてから30分以上経過していると、胃を通過してしまい吐かせることができないので、注意してください。
まとめ
犬が食べてはいけない食べ物は、玉ねぎやチョコレートが有名ですが、これらの致死量は、日常ではなかなか食べることがない量です。
対して、キシリトールの場合は小型犬ではガム一粒で中毒症状が現れるので、日常でも発症する可能性は十分あります。
特に注意すべきは、ガムの誤飲ですね。
犬の手の届かない場所にガムを保管するように徹底してください。
また、散歩中に落ちているガムを食べてしまわないように注意する必要もあります。